第343回(平成31年2月)定例会 一般質問要旨 |
質問日:平成31年2月25日(月) 質問者:村岡 真夕子 議員 質問方式:一括質問・一括答弁 |
【冒頭】 おはようございます。三木市選出、自由民主党県議団の村岡まゆこでございます。 さて、県政150周年という大きな節目を経て、いよいよ平成の御世も終わりが 近づく中で、将棋界では16歳の藤井聡太七段、囲碁界では9歳の仲邑菫さん、12歳の上野梨紗さんと、新星たちが現れ、大変な活躍ぶりです。大きな可能性と強い志を秘めた少年少女達が、偉業に果敢に挑みながら、囲碁・将棋という何千年もの歴史を持つ世界を力強く牽引していく姿は、今を生きる私たちが自らの手で兵庫の新時代を拓かんとするにあたって、大きな期待と勇気を与えてくれます。私も県議会議員として、希望に満ちあふれる兵庫を未来に繋いでいくことに貢献できる一手となるような質問を行いたいとの決意の下、質問通告に従いまして、以下6項目を一括方式にて質問をさせていただきます。 1 山田錦の振興について 質問の第一は、山田錦の振興についてであります。 現在、日本酒が世界的なブームとなっております。そのブームの一翼を担うのが、高い品質を誇る酒米であります。兵庫県では、主要農作物種子法の廃止に伴う主要農作物種子生産条例の制定や、県土の風土に合った新種の酒米の品種開発も行いながら、酒米の王者である山田錦の振興を図ってこられました。その成果もあり、山田錦発祥の地である北播磨地域を筆頭に、兵庫県産山田錦の出荷量は平成29年産で2万2,284トン、全国シェアの58%を占め、約550の酒蔵に届けられております。「兵庫県は山田錦のテロワール」と言われるように、もちろん、ブランド力も全国トップレベルであることは言うまでもありません。 しかし一方で、兵庫県産山田錦を取り巻く環境は厳しい状況になりつつあります。農家の後継者不足、度重なる自然災害に伴う農地維持に係る負担増など、農業特有の課題は年々深刻さを増しております。また、兵庫県産山田錦の高いブランド力ゆえに、全国的な地産地消ブームに酒米の新品種開発競争も生じており、現在では30を超える府県で生産が行われるなど、兵庫県産山田錦の全国シェアは年々減少しております。今後は、頻発する大規模自然災害や温暖化による生育への影響の懸念もございます。 また、日本酒の世界的なブームにも試練が伴います。国内外の酒造メーカーにより海外での日本酒の醸造が始まっております。さらには、酒米の山田錦そのものも海外現地で栽培されるようになりました。こうした国際的な地産地消ブームは、兵庫県産山田錦を国際競争の渦に巻き込むものであり、昨年12月30日の米国を除く環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11)、今月1日の日欧州連合経済連携協定(日EU・EPA)の発効による影響も含め、兵庫県産山田錦の振興に向けた戦略は新しいステージを迎えていると言えるのではないでしょうか。 兵庫県産山田錦は、日本でもトップクラスの品質と生産量を誇るだけではなく、地球上で兵庫県北播磨地域及び神戸市北区にしかない特A地区というブランド力も伴います。これは、他府県の山田錦とは異なり、最初から世界で戦える力を十分に備えていることを意味します。知事は、「農業を兵庫県の基幹産業とする」との決意を述べられております。世界でも戦える兵庫県産山田錦の振興については、特A地区産をはじめとする山田錦の牽引力を一層引き出すことなくしては始まらないのではないでしょうか。 そこで、酒米を取り巻く新しい時代の局面を踏まえ、兵庫県産山田錦の振興に向けた今後の戦略と取組について、当局のご所見をお伺いします。 2 美嚢川の河川整備について 質問の第2は、美嚢川の河川整備についてであります。 先ほどの、兵庫県産山田錦の振興を図る上では、農家の方々が安心して生産できる環境づくりが重要となってまいります。井戸知事がおっしゃる、農業を基幹産業にするためにも、それにふさわしい環境・基盤整備を進めなければなりません。中でも、近年頻発している台風や豪雨などの大規模自然災害の被害の大きさを踏まえますと、やはり災害に強い基盤整備が重要であると考えます。 加古川水系の支流である美嚢川は、神戸市北区や三木市を流れ、その流域は上質な山田錦の産地となっております。平成30年7月豪雨や台風等に伴う大雨による増水などで、細川地区をはじめとする三木市北部の美嚢川沿いの田んぼなどの農地がたびたび浸水し、大量の川砂、ごみ、竹や木などで覆われてきました。そうした川砂やごみなどの撤去・除去については、高齢化が進む農家にとって大変負担が大きくなっております。また、田んぼへの大量の川砂の流入は、高品質の山田錦の育成に不可欠な土壌づくりにも影響を及ぼすこととなります。稲刈りの時期であれば、背の高い山田錦の穂が倒されることもございます。 美嚢川流域の山田錦の産地では、村単位で特定の酒造会社との間で酒米の出荷を契約する、いわゆる村米制度をとっている地区が多いため、ひとたび河川の氾濫により農地に大きな被害を受けますと、酒造会社への出荷量・計画量にも影響を及ぼします。 農業全般が厳しい環境に置かれている中、兵庫県産山田錦の振興を牽引する北播磨地域産山田錦のブランド力は、日本一の品質や生産量を誇る山田錦に対する農家の誇りが支えていると言えます。実際に、生産しているのが山田錦だから農業を続けている、と訴える農家も多くございます。 県では、これまでの大雨等による洪水被害を受けるたびに、災害復旧はもちろんのこと、再度災害防止のための河川改修を積み重ねてこられました。また、平成24年に全国に先駆けて総合治水条例を施行し、減災対策等を含めた総合治水に取り組むとともに、平成25年には「加古川中流圏域河川整備計画」を策定し、計画的に河川整備を進めておられることは重々承知しております。しかしながら、美嚢川の氾濫に伴う田んぼへの浸水による耕作困難は、農家にとって重い負担となっており、農家の後継者不足にも拍車をかけている状況があります。農家の疲弊は、山田錦そのものや村米制度に危機をもたらし、最後には地域を疲弊させてしまうでしょう。 そこで、山田錦の特産地を守る上で、農家の方々が安心して農業に専念できるよう、三木市北部の美嚢川の整備は早急に取り組むべき課題であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。 3 三木総合防災公園を中核とした災害に強い道路整備について 質問の第3は、三木総合防災公園を中核とした災害に強い道路整備についてであります。 阪神・淡路大震災から24年が経過し、東日本大震災から間もなく8年を迎えようとしております。その間、兵庫県は防災先進県として、日本の防災の取組を牽引し、広域防災拠点の全県拠点の三木総合防災公園をはじめ、県内5カ所にブロック拠点を整備するなど、防災・減災体制を先導的に構築してこられました。しかしながら、近年では、我々が念頭に置いている将来発生が予想される南海トラフ地震への備えだけでは、頻発する大規模自然災害に対応できない状況に直面しており、防災・減災体制について新しい局面を迎えていると言えます。 平成30年7月豪雨では、三木総合防災公園の周辺でも、山陽自動車道や中国自動車道といった高速道路をはじめ、県道・市道の一般道路でも軒並み通行止めとなりました。当該公園から神戸方面を目指すルートの一つである、公園南側の笠松峠から以南の道路が被災して通行止めとなったほか、以北の道路も通行規制や通行止めが行われました。住民に対して不要不急の外出の自粛を求め、事故防止のために事前通行規制や車両移動の自粛呼びかけは賢明な対応であり、やむを得ません。しかし一方で、三木総合防災公園がある三木市を含む北播磨地域は、現在、ひょうご情報公園都市などの産業団地と多くの高速道路網が集中する地域でもあり、北播磨地域外や県外から流入する大型トレーラーを含む車両が多く行き交い、一般道路においては交通量が増加しております。通行規制時には、各産業団地を利用する物流車両や当該地域を通過するだけの車両が行き場を失い、慣れない土地で規制だらけの道路をさまよう事態になりました。それは、二次災害や新たな渋滞の発生を引き起こす要因ともなり得ます。 こうした地域性を踏まえますと、地震・台風・豪雨等を問わず、災害発生時には地域外や県外から大量に流入した車両が一定の距離を移動して安全な場所に避難することは不可避であると考えられます。また、三木総合防災公園などの防災拠点周辺では特段の配慮が必要ではないでしょうか。 そうした観点から、特に三木総合防災公園を中核として、災害に強い道路網の一層の強化が重要ではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。 4 三木総合防災公園内における宿舎建設について 質問の第4は、三木総合防災公園内における宿舎建設についてであります。 近年、大規模自然災害が頻発し、想定外の被害が続発しております。また、将来予測されている南海トラフ地震についても、その被害は「国難」クラスと予想されており、年々警戒が高まっております。 こうした災害に対応するため、兵庫県立広域防災センターは全県域をカバーする広域防災拠点として機能するとともに、平常時には消防職員や消防団員、地域防災リーダー等の育成のほか、一般県民を対象とした地震体験などの防災体験学習を行っております。防災先進県として、多くの成果を上げていることはとても喜ばしいことであります。 しかしながら、近年の広域にわたる大規模自然災害の被災状況を目の当たりにしますと、防災や災害対応のためのより高度で実践的な能力をもった人材を多く育成することが喫緊の課題ではないでしょうか。人命救助やガレキの撤去、夜間の訓練など、幅広い訓練が求められます。全国的に見ても優れた設備・体制を有する広域防災センターにおける災害応急活動要員の対応能力向上のための訓練については一層の充実が必要であり、また可能であると考えます。そのためには、訓練の受け入れの人数や日数も拡大する必要がございます。そこで、例えば広域防災センターに隣接する三木総合防災公園内に訓練人員用の宿舎を新たに建設することで、訓練環境の整備・充実に対応してはいかがでしょうか。同様のアイデアについては、昨年の夏に開催された北播磨地域づくり懇話会において、井戸知事からもご提案・言及があったと記憶しております。 三木市内は高速道路網が充実しておりますが、市内の主要施設では日帰りの利用者が多い事情もあり、もともと宿泊施設が少ないです。研修や訓練等がない期間には、防災公園内のスポーツ施設利用者による活用も見込める上、スポーツ合宿などによる新たな需要も期待できます。また、災害時には支援要員の宿泊施設としても活用が可能であります。 防災公園内における宿泊施設の建設により、広域防災センターの訓練機能を一層引き出し、より多くの災害応急活動要員の能力の向上に資することは、防災拠点の役割を高め、防災先進県である兵庫県にふさわしい使命だと考えますが、当局のご所見をお伺いします。 5 地域創生を推進する観点からの次なる産業団地の整備について 質問の第5は、地域創生を推進する観点からの次なる産業団地の整備についてであります。 国内景気は、緩やかな回復基調が続いており、先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本の変動など不透明な部分もありますが、今後緩やかに回復していくことが期待されております。 このような経済環境の中、産業用地の分譲は、新たな企業立地による設備投資や雇用の拡大により、地域の雇用を生み、人の流入を促進し、地域経済を活性化させる大変有効な方法であると考えております。 兵庫県内の2018年上期の工場立地件数を見ますと、全国3位の31件と過去5年間の平均29件を上回り、まだまだニーズの高さが見て取れますが、本県の産業団地のストック状況は減少傾向にあります。 昨年の平成30年度予算特別委員会において、産業拠点の形成と今後の展開についてお伺いをしました。その際、石井公営企業管理者からは、「今後の新たな産業団地の整備については、事業採算性等を考慮の上、地元自治体等の理解と協力が得られる場合において、前向きに検討していく」とのご答弁がございました。 あれから約1年が経過し、ひょうご小野産業団地の造成工事が始まり、問い合わせ状況や分譲の見込みも好感触とのことで私も期待しております。また、この間に、新名神高速道路の川西インターチェンジ・神戸ジャンクション間が開通しましたほか、「関西3空港懇談会」における伊丹空港・神戸空港での国際チャーター便運航の提案、2025年の大阪・関西万博の開催決定等による伊丹、神戸両空港や神戸港の需要の高まりが見込まれるなど、兵庫を取り巻く環境は予想以上に好転しております。 地域創生を進める観点からも、産業用地の積極的かつ的確な整備・確保の必要性は、私たちが想像する以上の規模と速度で高まっていると言えます。一方で、産業団地の整備は、分譲までに開発許可や工事等で時間がかかります。兵庫を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、産業用地に対する企業ニーズの高まりやタイミング等が見込めるうちに、例えばひょうご情報公園都市の次期工区着手も含め、次の産業団地の早急な整備を視野に入れておくことが必要だと考えます。 そこで、ひょうご小野産業団地の活用状況等を踏まえ、県として次なる産業団地の整備について、どのように取り組もうと考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。 6 県立高校の運動部活動における拠点校方式の推進について 最後の質問は、県立高校の運動部活動における拠点校方式の推進についてであります。 日本の子どもたちの基礎体力増進を支えてきた中学校や高校での部活動のあり方が、今大きく変わろうとしております。少子高齢化の進展による生徒数の減少に伴い、チーム制の部活動の維持が困難になってきております。また、学級数の減少により、顧問として部活動を支える教員の減少も伴うため、既存の部活動数の維持や新規部活動の設置が難しくなってきております。さらに、教職員の負担軽減を目指す働き方改革は、学校現場での部活動に量的制限・時間的制約をかけてしまう側面もございます。 こうした中、県でも、部活動の指導者に外部人材を活用することで、顧問を担当する教員の負担を軽減し、生徒にも専門的な技術指導を提供できる取組がなされてきました。この取組は一定の評価もあり、私も大変期待しております。 一方で、県民に対するスポーツ振興の必要性は一気に高まってきております。本年よりゴールデン・スポーツイヤーズが幕開けとなり、また「健康」をテーマとした大阪・関西万博の開催も決定し、スポーツ・健康に対する関心が高まりつつあります。さらに、「人生100年時代」に向けて、健康寿命の延伸は不可欠であります。長い人生に耐え得る健康づくりには、人生において絶え間ないスポーツとの触れ合いが重要であります。そうした観点から、中学・高校時代において、体力増強に励み、生涯スポーツの振興につなげていく上で、部活動が担う役割は一層重要であると思われます。 自分が希望する部活動がない。生徒数が不足してチームが編成できず、試合に出場することができない。部活動の新設ができず、例えばオリンピック種目でもあるゴルフ等の優れた競技施設に恵まれた地域であっても、そうした地域色ある部活動に取り組めない等々、課題は多いです。部活動のあり方が変わった結果、生徒たちがスポーツから遠ざかる結果になってはなりません。教員の負担軽減を図りながら、生徒や時代のニーズに応え、高い専門性と安全性を伴いながら、健康寿命の延伸につながる競技スポーツ・生涯スポーツを振興していくことと調和がとれる部活動のあり方を模索するべきではないでしょうか。 そこで、こうした課題を総合的に解決するためにも、自校にその部活動がない、あるいは少人数のため練習が困難な場合、複数の県立高校の生徒が拠点校に集まって活動を行う拠点校方式による部活動を積極的に推進してはどうでしょうか。この拠点校方式は、先ほど述べたような課題を抱える地域での学校における部活動の活性化方法の一つとして、既に広く周知されたものであります。文部科学省も推奨している方式ですが、実際に採用している学校はまだまだ少ないのが実態であります。しかし、外部指導者の活用も可能になった現在では、この方式は非常に有効だと思われます。実際に、中学校の事例ではありますが、神戸市や東京都江東区ではこの拠点校方式を採用し、課題解決はもちろんのこと、地域色を生かした部活動や生徒のニーズに応えた特色ある部活動を行っております。高校時代は、運動部活動への参加も減り、スポーツや体力増強の機会が減りがちです。さらに、そのままスポーツ離れをしたまま成人になる時期でもあります。高校を卒業しても、スポーツから離れず、生涯スポーツに携わっていくことができるような環境づくりに取り組むべきだと考えます。 ぜひ、兵庫県でもこうした取組を公立高校で実施してみてはいかがでしょうか。当局のご所見をお伺いします。 |